これからの入試は読解力

1月通信より


これからの入試は、読解力と思考力

12月5日の新聞で、今の中学生たちから始まる「大学入学共通テスト」の試行調査の問題が報道されています。
問題の内容を見てみますと、これまでのセンター試験とは大きく違った出題でした。

大きな特徴は、文章や図表の読解力と思考力が重視されていることです。
この傾向は、今後高校入試や小中学校の授業内容にも大きな影響を与えるものと思われます。

 

この間、報道されてきた改革の中心テーマは、
「学んだことを日常生活で生かすため、資料を読み、調べ、話し合い、課題を解決する」
といったことでした。

2020年度に小学校から順次始まる新指導要領でも
「主体的・対話的で深い学び」を中心課題に掲げています。
今回の試行調査でも日常生活を題材に多量の資料を読んで
意味を理解する必要がある問題がほとんどでした。

例えば、国語では生徒会部活についての議論の中で、
①部活動規約 ②生徒アンケート ③新聞記事 などの資料を参照しながら、
発言者の会話内容を推察して書く問題が出題されています。
限られた時間の中で、さまざまな資料を読み解き、
議論の流れや結論を導き出すための読解力と思考力が要求されています。

最近、塾の広告などでは、大学入試で英語がなくなるとか、
アクティブラーニングが必要など、様々ことが言われています。
全部間違いとまでは言いませんが、少し事実とは違います。
文科省自体が、センター試験をやめて読解力と思考力を重視した共通テストにする、
という大枠を言っているだけで、具体的な細かい内容は示していません。
(これは「ダマシ」のポーズかもしれませんが、、、)
担当者自身が「走りながら考えるしかない」と話している状態です。
だから試行調査をやっているわけです。
最終的にどんな形になるかはまだわからない、
というのが実状で、以下のような問題を残したままです。

解決できていない技術的問題

指摘されている技術的な問題は、記述答案の採点方法です。
50万人もの人間が受ける試験を、短期間で客観的にかつ公平に採点できるか、
という点です。これはかなり高いハードルです。
マークシートならコンピュータで瞬時に処理することが可能ですが、
人間がやる採点ではどうしても個人差が出てしまいます。
また短時間に処理するというのも難しい課題です。

基本理念と矛盾する出題内容

技術的な問題よりもっと重大なのは内容の問題です。
そもそも「知識偏重をやめて、自ら考え課題を解決する」
ことを目標とした共通テストですが、そうはなっていません。

採点の便宜上、生徒が自由な発想力を表現する問題はなく、
与えられた条件を満たしている答案かどうかが問われる問題に
なってしまっています。

また選択肢の問題では、長い資料を読ませたうえ、
紛らわしい複数の選択肢の中からから適切なものを選ぶようになっています。

これらは両方とも思考力や表現力よりも、
むしろ従来からある処理能力を評価する問題なのです。
すでに、改革の根幹が崩れています。

ともあれ今後これらの試験をくぐり抜けていかなければならない生徒たちには、
小中学校の段階から文章や図表の読解力を高めていく学習が必要です。
まず自分で読み、自分で答えを出していくこと、この練習を繰り返すことです。

どんな状況にでも対応できる人間に育てる、
これが教育の基本的筋道です。

 

英語4技能 以前

12月号通信から抜粋

英語4技能どころか
文章読解力が危ない!

「教科書の文章、理解できる? 中高生の読解力がピンチ」と題した記事が11月7日の朝日新聞に出ました。記事によりますと、「教科書や新聞記事のレベルの文章を、きちんと理解できない中高生が多くいる」と指摘しています。調査したのは、国立情報学研究所の新井紀子教授らの研究グループ。新井教授は「基礎的な読解力がないまま大人になれば、運転免許や仕事のための資格を取ることも難しくなる」とまで言っています。

調査の方法は、「教科書や新聞記事などの文章を読んでもらい、意味や構造を理解できているかを調べる内容で、2016年4月から今年7月にかけて、中高生を中心に全国で約2万4千人が受けた。」と。

その結果、上図の例で「メジャーリーグ選手の出身国の内訳」に関する中学校の社会科教科書の文章を読み、内容に合うグラフを選ばせたところ、正解率は「中学生は12%で、高校生も28%にとどまった。」とか。
元の文章に「選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身」とあるのを、③④を選び、「72%がアメリカ合衆国出身」という事実をつかむことができない生徒が多かったと報告しています。

記事では、他にもいくつか例が出されていますが、教室で指導していて感じるのは、読解力以前に言葉の知識が足りないことです。11月の県模試でも、小説文の問題で、「夜更けとともに」とルビもふっている語句の、「更ける」の意味が解らない生徒が少なからずいました。また、1,2年生の国語の作文では、指定されたテーマを無視した内容を平気で書く生徒がいました。

国語力の不足は、すべての教科の理解力の低下につながりますから深刻です。おまけに生徒たちを取り巻く環境は、テレビにしろスマホにしろ、きちんとした文章から遠ざかる方向にあります。この子供たちに意識的に練習させなければ、新井教授が指摘するような事態になる可能性はかなり高いと思います。

 

まずは、文章を読み、言葉の意味を知る。

読解力はの養成には時間をかけて多くの文章を読み、自分でまとめの文章を書くことしかありません。残念ながらすぐ効く特効薬はないのです。ただ言えるのは、言葉の意味を確かめながら文章を読んでいくこと。今、言われている思考力もここからしか育ちません。